小学校教師の一年目

小学校教師における初任者研修とは

高倍率の難関試験である教員採用試験にめでたく通り、採用される学校が決まったらいよいよ教師として現場に立つことになります。

教員採用試験に合格するためには、それぞれの地方自治体で行われてきた過去問題にあたったり、参考文献を読んだりしますが、そうしたことだけでは教員として必要な技能はまだ不十分です。

小学校教師として初めて現場に出る人に対して行うこととなっているのが「初任者研修」です。
初任者研修とは昭和63年より設けられた制度であり、平成元年から学校ごとに段階的に導入をされるようになっています。

文部科学省が教育委員会に提示している初任者研修は「校内研修」と「校外研修」の2つに分かれており、それぞれ必要な日数と時間が決められています。

校内研修においては週10時間、年間300時間程度として、指導教員として同じ学校に別の教諭がつき、授業実践の基礎事項である指導案の作成や板書方法、発問のとりかたといったものをチェックをしながら指示していきます。

校外研修は年間25日程度、最寄りの教育センターなどで教科ごとに授業に必要な指導方法を学んでいきます。
座学の他にも企業・福祉施設で体験研修をしたり、社会奉仕体験活動や自然体験活動を研修していきます。

宿泊研修も4泊5日で組まれており、ほぼ合宿として詳しく教職について学び地域の他の教員たちとの接触をはかっていきます。

小学校教師の場合、学校を卒業して就職をした初年度からいきなり担任を任されることも珍しくなく、慣れない仕事をしながら指導を受けるという大変プレッシャーの強い環境で1年間を過ごします。

東京では初年度に約1割の人が辞めると言われます

正式なデータではありませんが、東京都内では小学校教師として採用された新任教師のうち約1割は初年度で退職をしてしまうと言われます。

東京都の教員採用試験は約3~4倍なので、苦労をして採用されたのにそこで辞めるのは非常にもったいないようにも思います。

なぜ早期に退職をしてしまうかというと、やはり仕事の絶対量が多くプレッシャーに負けてしまうということが原因のようです。

教員として仕事を始めた初年度に多くの人がショックを受けるのが、生徒以外の人とのコミュニケーション機会が非常に多いということです。

教師の仕事は子供だけを相手にするのではなく、その保護者からの要望を受けたり、先輩や同僚の教員との情報交換、教材会社からの営業、さらに地域の教育委員会のお偉方への挨拶と非常に沢山の人と交流をしなければいけません。

子供が好きで教師になったという人は、むしろ大人とのコミュニケーション能力が問われるという仕事につらさを感じて「自分には向いていないのかも」と思うこともあるようです。