小学校教師の採用状況

倍率は依然高いものの下落傾向が見られます

小学校教師となるためには何よりもまず教員採用試験に合格をしなければいけません。
しかし採用試験は全国的に非常に倍率が高く、かなり対策と勉強をした人でなければ通るのは難しいというのが現状です。

10年くらい前の教員採用試験は超激戦となっていましたが、どうもここ数年でやや様子に変化が見られるようになってきています。

というのも2015年くらいから教育採用試験の競争倍率が下落傾向に転じており、受験者数も全体的に低下傾向にあります。

一方で採用者人数を増やす自治体が増えているということもあり、全体的な試験の倍率は急激に落ちていることがわかります。

近年最も倍率が高かった年は2000年(平成12年)の全国平均13.3倍でしたが、2015年(平成27年)調査においては平均で約5倍、もっとも倍率が高かった鹿児島県でも11倍となっています。

以前より現在教職員として勤務をしている年代のうち最も多い、第二次ベビーブーム時に採用された教員が一斉に退職をすることで急激に教職員の世代交代が進むということは予想されていました。

更に報道などで公立学校の教職員が非常に多忙な就業環境にあることや、景気がやや回復基調にあり民間企業で採用を増やし始めたということが、教職を目指す人を減らす原因になっているようです。

とはいえそれでも公務員という安定的な職業にあることと、将来を担う子供たちを育てるという社会的意義の大きい仕事である教員は、新卒の学生にとって魅力の大きなものであることは変わりありません。

教員の質を確保することが喫緊の課題

これから小学校教師を目指そうと思っている人にとってはこの採用試験の倍率低下は喜ばしいことのように思えます。

しかし現場からはあまりに急激に世代交代が起こり、かつ倍率自体が低下してしまうことで教職員の質が下がってしまうのではないかということが懸念されています。

現在頑張っている教員たちの労働環境を少しでもよくするためにもより多くの人材が欲しいところですが、誰にでもなれる簡単な職として教員を目指す人ばかりが入ってきてしまうのは困ります。

そこで現在教育委員会と全国の教育関連学部を置く大学とが連携をし、若年層教員の人材育成のためのプロジェクトが行われています。

若年層教員が苦手としがちなのが実践的指導力やコミュニケーション力、チームで一つの問題に対応する力とされています。

そのため「ミドルリーダー」と言われる中間的年代の職員を設置して、新規採用教員を育てるための実習などが行われています。

同時に同じ教員を「ベテラン」と「新人」と二分するのではなく、若手が自主的に勉強会を主催するなど世代を超えた取り組みも活発になっています。